簿記検定は人気の高いマンモス資格です。
毎年、約25万もの人が簿記3級を、簿記2級では約15万もの人が受験しています。
簿記を勉強することで会社の経営状況を把握するスキルを身につけることができます。
自分が働く会社や取引先の経営状況を把握しながら仕事をすることができるようになります。
そのため簿記は社会人すべてに役立つスキルです。
また、簿記の資格を取得することで入試の際に優遇してくれる大学もあります。
簿記は、学生にとっても魅力的な資格です。
本記事では、日商簿記(3級・2級)の試験概要と合格率からみる難易度、目安となる勉強時間について紹介します。
簿記が活躍する場面
就職や転職に有利
金融系の企業に就職・転職を考える人にとっては簿記の資格はアピールの1つになります。
会計事務所や税理士事務所、企業の経理部門、証券会社や銀行など幅広く活躍できるフィールドがあります。
簿記検定は、簿記について一定の理解をしていることの証明になります。
実務未経験の人なら是非、取得してほしい資格です。
また、実際に経理業務をしている人にとってもスキルアップやブラッシュアップにもなります。
大学入試で優遇される
主に商学部や経済学部、経営学部への推薦入試の際に優遇されることがあります。
全国70以上の大学入試で簿記の資格が優遇されています。
優遇している大学一覧
企業の財務諸表が読めるようになる
簿記は会社や個人事業主の日々の経営活動である営業取引を記録・計算・整理するためのルールを学ぶものです。
簿記に基づいて会社は適切な経理処理をおこない、それを年に一度まとめることで決算書を作成することができます。
決算書の中には貸借対照表や損益決算書、株主資本等変動計算書などの財務諸表と呼ばれるものがあります。
簿記の知識があればこれらの財務書表をよむことができます。
日商簿記3級と2級の試験概要
日商簿記3級と2級の試験日や試験実施機関、受験資格、出題内容と合格基準にてついて紹介します。
試験資格
年齢や学歴等に関係なくだれでも受験可能です。
試験日
3級・2級ともに年3回、毎年6月・11月・2月の日曜日に実施されます。
受験料
3級 2,850円
2級 4,720円
試験実施機関
試験の申込方法や申込日時については各商工会議所によって異なるため、近くの商工会議所でご確認ください。
近くの商工会議所を探す
出題内容と合格基準
【3級】
試験形式:筆記
科目:商業簿記
制限時間:120分
合格基準:70点以上
日商簿記3級では試験範囲があまり広くないため、毎年同じような問題が何度も繰り返し出題されています。
そのためテキストや問題集だけでなく、過去問を解くことが重要な試験対策です。
【2級】
試験形式:筆記
科目:商業簿記と工業簿記
制限時間:120分
配点:商業簿記60点、工業簿記40点の合計100点
合格基準:70点以上
商業簿記は、簿記3級に比べて大きな違いはありません。
しかし工業簿記は初学の科目であり、仕訳中心の商業簿記とは違いわかりにくい科目でもあります。
近年、商業簿記の難易度が上がっているため工業簿記での点数が合格を左右すると言われています。
しっかりとした勉強時間が必要な科目です。
【日商簿記】合格率の推移からみる難易度と勉強時間の目安
日商簿記3級
日商簿記3級の近年の平均合格率は約47%
難易度 易
毎回の受験者数が8万人に対して、合格者数が約4万人。
試験範囲は狭く、勉強時間の目安は30~80時間ほど。
一日に1~2時間の勉強を約1~2か月続けることができれば合格レベルに達することができます。
独学で合格が十分に可能な試験です。
無料で利用できるアプリやサイトなど勉強教材が多数あり、独学者のための環境が整っています。
日商簿記2級
日商簿記2級の近年の平均合格率は約24%
難易度 やや難
近年、日商簿記2級の難易度が急に上昇してきています。
これは平成28年~平成30年にかけて大幅な試験内容の改正が関わってきています。
もともと1級の試験範囲だったものが、2級で求められるようになりました。
とくに第151回の試験では、「複数子会社の連結会計処理」の問題が出題されました。
合格率も12.7%と1級の合格率と変わらないレベルです。
そのため日商簿記2級に求められる勉強時間が以前よりも多くなり、3ヶ月~半年ほどかけて約250~500時間が必要です。
今までは2級も独学での合格が可能な資格だと言われてきましたが、近年の出題内容や合格率を見ると厳しいです。
従来の簿記2級では暗記をベースにした学習が多くされてきましたが、試験内容の改正で暗記だけでは解けない傾向になっています。
より理解を重視した学習スタイルに変える必要があります。